単純承認と相続放棄【成功事例】

【事例】

・父Aが急死
・父Aは年金暮らしで、Aの妻Bはずいぶん前に他界している。
・長男Cは数年前に自宅を建築し、2人で暮らしていた。(九州)
・相続人は長男C・長女Dの2人。

長女Bは、大学卒業後、関西方面に就職、その後結婚して関東方面に転居。
独身の頃は、年2回くらい帰省していたが、結婚してからは次第に疎遠になった。

ある日、長男Cから父Aが急死したとの連絡をもらい帰省し、葬儀にも参列。
しかし、相続の話しは一切なかった。
父Aは、慎ましい年金暮らしだと知っていた。
長男Cに対しては、ずっと父Aの面倒をみてきたので、もし預金や僅かな財産があれば長男Cが引き継げば良いと思っていた。
父Aに借金をするイメージでも無かったし、全く考えてなかった。
自宅は、長男Cが建てて父Aと一緒に住んでいると思っていた。

そんな中、約1年以上が経過したころ長女Dの元に、九州の地方裁判所から「担保不動産競売開始決定」の通知が届きました。
それには、連帯債務者父A・長男Cと書かれていました。
実家の名義を確認すると父Aの名義になっていました。

※ 不動産が競売になると債務が無くなると思っている方が多いです。
競売の落札価格が、残債務より低ければ、当然、債務は残ります。
相続人は、法定相続分に従い、残った債務を直接支払う義務が課されます。

父Aの死亡から1年以上が経過しています。
この案件の解決方法は…

 

(相続の承認又は放棄をすべき期間)民法第915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

 

(法定単純承認)民法第921条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
⑴ 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
ただし、保存行為及び民法602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
⑵ 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

 

(単純承認の効力)民法920条
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

 

【結論】
長女Dは、自分に相続財産があることを全く知らなく、かつ、知らなかったことに合理的な事由があり、

家庭裁判所に負債相続があることを知ったのは「競売開始決定の通知を受け取った時」と認めてもらうことができ、相続放棄申述書が受理された。

相続開始後、負債が発覚しても決して諦めないで、相談に来て下さい。
一緒に解決しましょう!

【失敗事例】
・被相続人 会社経営者
・相続人が会社の株券を相続した

・会社が被相続人に生命保険を掛けている
・生命保険会社から、保険金を支払うので役員変更登記をしてくださいと依頼される。
・株主の地位として、議決権行使

これらは、ついやってしまいます。

※ これが単純承認です

 

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